自己紹介(少女マンガ系音楽論)

まず最初に

 はじめましての人も、そうでない人も、よろしくお願いします。暴力温泉学者こと、さわらびです。私のことは師匠と呼び給へっっ!!

 とある事情により(BBS上での見知らぬ者からの殺人予告に屈してWebを撤去したなんて、恥ずかしくて口が裂けても言えない)しばらくネットワークから遠ざかっていたのですが、このたび管理人のご厚意によって、ここに遊佐未森関係のサイトページを復活、再掲することができました(須藤さん、ありがとうございます)。

 まあたいがいに音楽については変な趣味を持っていると自覚しているわけですが、基本的には「メジャーな物は耳に合わない」というひねくれ者の性質によりますね。持っているCDの中で、一番メジャーな物は、恐らくENIGMAの「The Cross of Changes」だと思います。売れてる枚数で言うと遊佐未森だと思いますけれども、それにしても、そこはかとないマイナー感が漂うでしょ(^^;。

 でも、結局のところ好きなのは、遊佐未森をはじめとして、zabadakやnav katze、Adiというあたりなんですね。普段はほとんど、こればっかり繰り返し聴いている感じ。徐々に増えてくるCDも、この人たちに関係するアーティストや、似たような音作りをしている人たちのものが多くなる。それで、ある日ふと思い当たったのですが、これらの音楽って「少女マンガ系」というキーワードでくくれるのではないかと。それをまとめて書いてみようというのが、このページの狙いです。

 ただ、辺境とかマイナー好きとか言ってますが、別段たいしたもんを聴いているわけではありません(^^;。結局ミーハーなケルト系が性にあっているようだし、その幻影を求めて音楽遍歴をしているような気もします。ただし、それも「アイルランドでの主要レーベルは網羅した!」なんてことは全くなく(^^;、聴き込んでいるとはお世辞にも言えないですね。その他には「ガムランが好き!」と公言しているわりには、一番好きなのは「アキラ」のサントラに入っている芸能山城組作曲の曲だし(^^;。

 こーいったマイナー趣味が昂じると、恐らく

「新月」はシンフォニックではなく、あくまでも日本的プログレの白眉ではないだろうか。これは、「アイン・ソフ」がシンフォニックで「ノヴェラ」が日本的プログレの衣鉢を継いでいると考えられることより論証される。ただし「新月」メンバーが参加している「アストゥーリアス」は、確かにシンフォニックと言うことができる。

 とか

「mio fau」は一度、朝日新聞の芸能欄に記事が載ったので、マイナーとは言えない。

 とか

「phew」=「原マスミ」同一人物説

 とかいう主張をしだす、「そーゆー方向」に行ってしまうのでしょうが、何かを徹底的に追及するということが苦手な、およそ研究者向きとは言えない(T^T)性格をしているので、そこまでは行きません(^^;。

少女マンガが大好き(T^T)

 んでもって、何度も書くようですが遊佐未森やzabadak、nav katzeやAdiを総称した系列のことを、ここでは「少女マンガ系」と呼ぶわけです。これらをまとめて聴く人は多いようですね。ある人の言によると、なんでも「zabadakとか聴く人は、みんな共通のパーソナリティを持っている」のだそうで。むむう(^^;。

 音楽的には、ネオアコ、プログレ(シンフォニック)、民族音楽(古楽を含む)、テクノ(アンビエンスを含む)の影響を強く受けている場合が多いようです。ただし、「これこれこういう音楽性を持ったもの」という枠組みでくくられるものではなく、あくまで美味しいどこ取りをして自分の好きなことを表現するという、いわゆる「ミクスチャ」を特徴としているのではないかと考えられます。

 例えば、遊佐未森に関して言うと、プログレ、民族音楽、テクノの影響が色濃く、さらに一時はネオアコに分類されていたこともあったという具合です。また、「あるアルバムでは古楽だったのに、次のアルバムではテクノ(Vita Nova)」とか「ネオアコとテクノを行き来する(nav katze)」なんてケースもあります(^^;。民族音楽や古楽をテクノで表現する「テクノトラッド(さわらび命名)」なんて分野に属すると考えられるグループ(黒百合姉妹)もいますし。

 で、何故「少女マンガ系」というネーミングをしたかというと、それは歌詞に少女マンガ的な特徴が色濃くあるから(^^;。

少女マンガ系歌詞の少女マンガ的特徴

 ここでお別れ。だけど忘れない
 (例:腐るほどある(^^;けど、例えば遊佐未森「夏草の線路」・Adi「Crossing」)

 永遠の愛と転生
 (例:zabadak「サンタ・サングレ」・nav katze「星のパレード」)

 私の腕の中で眠れ
 (例:遊佐未森「エピローグ」・karak「夢の引き潮でお休み」)

 いつまでも待ち続ける
 (例:遊佐未森「緑の絵」・nav katze「光の輪」)

 このまま乾いて生きよう
 (例:nav katze「Velvet」・小川美潮「人と星の間」)

 幼少期ゲマインシャフト的楽園像
 (例:遊佐未森「いつの日も」・Lanpa「あの頃のわたしたちは」)

 汚れのない死の世界への憧れ
 (例:zabadak「愛は静かな場所へ降りてくる」(タイトルが長い(^^;)・黒百合姉妹「最後は天使と聴く沈む世界の翅の記憶」(タイトルが長すぎるっ(^^;(^^;!))

 常若の島の伝説(Tir-na-n-og)
 (例:遊佐未森「Island of Hope and Tears」・zabadak「二月の丘」「La Fate」・nav katze「水の中の月」)

 天使
 (例:遊佐未森やnav katzeや黒百合姉妹の様々な歌に登場)

 壊れてしまったこの地球
 (例:遊佐未森「僕の森」・zabadak「good-by Earth」)

 壊れてしまったこの世界
 (例:zabadak「人形たちの長い午睡」・Adi「エネルギー新聞」)

 で、割合こーゆーテーマが取り上げられやすい、少々キてる女性向けマンガ(^^;が、白泉社系の少女マンガというわけですな(失礼)。私の中では、遊佐未森=「So What?(わかつきめぐみ)」、zabadak=「僕の地球を守って(日渡早紀)」、nav katze=「今日もみんな元気です(猫山宮緒)」、黒百合姉妹=「天使禁猟区(由貴香織里)」という図式ができあがってしまっているというわけです(^^;。やっぱし、こーゆーのにハマる共通したパーソナリティ特性があるのかも(^^;。まあ、自分が白泉社好きだから、こう書いているわけですが、他の会社の少女マンガにも、上のような特徴を有する作品というのはいくらでもあるようです(吉野朔実が好きだあっ!)。

 上の分類はさておくとしても、「現実の少女マンガとの関連が高い」という意味での「少女マンガ度」が非常に高いのは、zabadakじゃないでしょうか。2ndアルバムのタイトルが「Crescent Moon(銀の三角)」で、これって萩尾望都のSF長編と同じタイトルだし。その中の1章「チグリスとユーフラテスの岸辺」はそのまんま曲名になっている(^^;。1stアルバムに「パスカルの群れ」という曲が入ってますが、これは大島弓子さんの名短編と同じタイトルだしなあ(^^;。zabadakは、もお初っぱなから白泉社系だったのかもしれない(^^;。

 ともあれ、古くは「最終戦争伝説(山田ミネコ)」のイメージアルバムを2枚も作ったノヴェラに始まり、「わかつきめぐみの宝船ワールド」に参加したzabadak・nav katze・Adiの皆様、某所で「チクタク」と歌っていた遊佐明子さん(爆)など、現実の少女マンガとの関わりが深い方々は、zabadakに限らないようです。

 ちなみに、「少女マンガ系」にカテゴライズされるのは、上に挙げた他にはkarakやLANPA、小川美潮なんてのがいます。谷山浩子さんや大貫妙子さんなんかも分類されるのかもしれませんが、この人たちは大御所やし(カテゴライズ不能)、あんまし聴いたことがないっす(^^;。昔、これらは総称して「ネオアコ」と呼ばれていたことがあったんだけど、実はネオアコじゃないでしょう(^^;。

 あと、ふと気づいたのですが、上のような歌詞の特徴を持っていて、しかも音楽性は「ミクスチャ」ということになると、例えば筋肉少女帯やLuna Sea、ラルク・アン・シェルなんかも「少女マンガ系」に分類されてしまうのではなかろうかと(^^;。最近の少女マンガ家さんたちは、「少女マンガ系」ではなく「Visual系(これも失礼なネーミングだと思いますが)」を聴いているという話なのですが、こういうところに路線の共通性があるのかもしれません。

ネオアコ

 この言葉自体定義がよく分かっていないのですが(^^;、やっぱしジャズ楽器使ってたらアカンのかなー。例えば、ドラムやベースといった楽器が「キザミもの」として優勢に使用されていると、すでにネオアコとは言えないような気もします。あくまでもギターとかフィドルとか(あるいはオーケストラ楽器?)を主体にアンサンブルを組んでいるのがネオアコなのでしょうか。

 それとも、電気を使ってたらイカンのか。例えば、打ち込みジャカスカは問題外としても(^^;、キーボードを使っているとしたら、たとえそれがストリング系のジェネレータとしても、「アコースティック」の範疇から外れるような気もします。しかし、もしこの定義が正しいとすると、enyaはネオアコとは言えないわけだ。むーん、わからん(^^;。

 日本で、昔この言葉が流行ったとき、私が言うところの「少女マンガ系」も、ぜーんぶネオアコに分類されていました(^^;。でも、これらって全部ジャズ楽器も電気も使っている。んでもって、これらをネオアコと分類するならば、同程度にしか電気やジャズ楽器を使っていない「古楽器系インダストリアル・パンク(^^;」のMiranda Sex Gardenはネオアコということになってしまいます。

 というわけで、音楽的にバラつきのある「少女マンガ系」を、すべてネオアコに分類するのは無理があるという結論に達するわけです。例えば、聴く人間から言わせてもらえば、少なくともAdiは「歌詞付きのフュージョン」だと思うぞ(^^;。

 というわけで、よく分からないままこのジャンルに分類されであろうものを挙げてみると、Nightnoise、Clannad、Loreena McKennitt、Madredeusなんてあたりでしょうか。これら系統の代表曲のさわり部分だけが集められたTO-EMIの良いオムニバス「Litany」がオイシイですね。

 この系統で特に好きな音作りをしているのはMadredeusで、これは最高だと思います。なんか、列車の速度に妙に合うんですよねー(^^;。だから、夜汽車で移動する(趣味なんです(^^;)時や、街に出る時の電車内で(郊外に越したもんで(^^;…)、繰り返しよく聴いています。

 国内では、最近発見した(^^;「Vita Nova」がいーですねー。これはスタッフが贅沢です(遊佐未森、上野洋子、本間TECHIE哲子を中心に、ゲスト多数)。ただし、急速にテクノ色が濃くなってしまったのですが。

シンフォニック&プログレ

 …とはいえ、これについてはコアなファンだと言えるほどではありません(^^;。海外物ではYesぐらいしか聴いたことないし(「シベリアン・カトゥール」がイカす(;_;))、国内でも新月のリバイバルのCDを持っているとゆーのが唯一マニアックなギミックだとゆーくらいで、あとはアイン・ソフやノヴェラを聴いていたというぐらいかな。

 上の方にもチラっと書いたのですが、ロックとクラッシクを融合させる(あるいはクラッシクの手法をロックに取り入れる)という意味での「プログレッシヴ・ロック」は、日本では根づかなかったような気がします。例のごとく、形式だけを輸入したコピーに終始しちゃってね(^^;。

 しかし、これが日本的リリシズム(よーするに宝塚or少女マンガ系列(^^;)の洗礼を受けて「シンフォニック・ロック」と呼ばれる方向へ進化すると、また話は違ってくるわけです。歌詞はYesより難解になり(^^;、キーボードは太いMoogの音からRoland系のウスい音を多重する方向になり(^^;(^^;、ドラムの存在感はますます薄くなる(^^;(^^;(^^;。おおっ、「少女マンガ系」のできあがりじゃん(^^;^4。

 てなわけで、日本シンフォニックの衣鉢を継ぐアストゥーリアス(ゲスト:新月の元メンバー+上野洋子)に至っては、なんか「ヒーリング」系のコーナーで売られていたりする始末(^^;。もっとも、Yesの末裔(^^;Jon Andersonもヒーリング系にいっちゃってますので、これってプログレが元来持っていた方向性によるものなのかも。

 zabadakの吉良さんがプログレ畑の人だという話は有名ですが、「少女マンガ系」の人たちのほとんどは、プログレの影響を受けていると言ってしまってもよいのではないでしょうか。プログレの影響を見分ける方法はいくつかあるのですが、簡単に書くと

曲が妙(^^;
 …特に、妙な転調をくり返したり、妙な変拍子(5拍子や7拍子が好き)を混ぜたり、妙な様式美にこだわっていたり(歌い出しが「ドレミファソラシド」になるように作ってみたかった!とか妙に力説したり(^^;)、妙に民族音楽風だったりします。

耳慣れない楽器を使う
 …スプーン(遊佐未森・上野洋子)だのブズーキ(吉良知彦)だの、滅多にお目にかかれない(聴けない)楽器の存在を知ることができます。未森さんがハーディ・ガーディを持ってジャケットに登場したのも、その延長線上?その路線(?)でいくと、弾けない弦楽器はないのでないかと思われる渡辺等さんの入った「Adi」の独壇場かもしれませんが。楽器を自作するのも、プログレな人たちの特徴かも(含む、ハルモニオデオン(^^;)。Mini-Moogが聴ける(nav katze)のも、プログレの特徴。

歌詞がヘン(^^;
 …難解で哲学的な歌詞を歌うというのがプログレの伝統(爆)ですが、日本シンフォニックの場合は「永遠の愛と転生」を歌うのが、新月の「白唇」以来のキマリになっています(^^;。それから、一回聴いただけで何を歌ってるかすぐに分かってしまう歌詞は、新月の「鬼」以来、原始開闢の御法度です(^^;。

ヴォーカルがへたくそ(^^;
 …特に男性ヴォーカルにその傾向強し(核爆)。

(純)民俗音楽(+古楽)

 一応、「バロック以降に確立された西洋音楽の手法の影響を受けずに成立した土着の音楽」ということで、この項を定義したいと思います。これで、いわゆる「民族音楽」と、バロック以前の西洋音楽「古楽」を同列に扱うことができるわけです:-)。

 私の場合、元ネタのほとんどは、インチキ臭い通販のCDの宣伝を新聞の日曜版に載せていることでお馴染みの(^^;日本音楽教育センターから出ている、細野晴臣監修「Ethnic Sound Selection」と「World's Favorites Collection」のシリーズから得られたものです。

 即刻フォローを入れておきますが、日本音楽教育センターのCDはモノがよくて、どのシリーズを買っても「買ってよかった」と思える商品を送ってくれます。問い合わせの電話に出る社員は教育が行き届いていて非常に親切で丁寧で好感が持てる対応をしてくれますし(^^)。ただ、広告の宣伝文や造りが「さわらび(と、楷書体フォントで印刷してある)様だけにお知らせする」とか「お申し込みは今すぐ!」とか「先着順で高級腕時計を進呈!(いや、オレ、今、使ってるけどさ(^^;)」みたいに、奇妙にイカサマっぽいだけでね(あっ、フォローになってない(^^;)。

 日本音楽教育センターといえば、最近出た「EARTH HEALING」という、これまた民族音楽系のシリーズと、「千年の時」という古楽器のシリーズも素晴らしいです。これらのCDを聴いていると、いやー少女マンガ系の人たちってのは、よく勉強して曲作りしてるんだなー、と感心することしきりです。zabadakとAdiは民族音楽、黒百合姉妹が古楽系の秀才ですね。

 というわけなので(どういうわけだか分からないが)、別にキングの民族音楽シリーズを端から端まで揃えたとか、休日になるとパルコやロフトの(セゾン系)CD屋で出物の輸入盤を漁っているとか、そーゆーことは一切ありません。

 また書きますが、好きなのはガムランとユーロ・トラッドです。アフリカ系/ノーザンアメリカ系はあんまし(^^;。いわゆるフォルクローレも好きかな。よーするに、メロディアスなものが好きなわけですね。このへんが「少女マンガ系のネタ探し」的な側面から逃れ切ってないのかも(^^;。

テクノトラッド

 これって私の造語だけど(^^;、だいたい分かっていただけるのではないかと。具体的に言うと、ENIGMAやStone Age、Deep Forestなんて感じのあたりですね。前に衝動買いしてしまったものにAdiemusがあって、これは「どこにもない国の民族音楽」的で、壮大で素晴らしいですよ:-)。

 日本では姫神が好きで、まだ「姫神せんせいしょん」だったころから(爆)聴いているのですが、「マヨヒガ」(PCCR-00154)からこっちテクノトラッド化が著しく、非常に喜んでいます。それこそ、一生懸命勉強して曲作りしていますね。最近では、テレビのドキュメンタリーシリーズ「神々の詩」のタイトル音楽も手がけていて、壮大な音作りをしてくれています。最近、「姫神は世界に先駆けて、エスノとテクノの融合を試みてきたんだ」と最近主張してるのですが、誰も相手にしてくれないのよ(T^T)(^^;。

 あと「Vita Nova」に参加していることで存在を知った(^^;「黒百合姉妹」が素晴らしいと思います。「電子楽器でグレゴリアン・シャント(っぽいこと)をやる」というのは、ENIGMAと同種の試みなのかもしれませんが、歌詞の美しさ(耽美さとも言う(^^;)がたまらない楽曲になっています。歌、下手なんだけどね(^^;。

テクノ

 やっぱり純トロが一番効くッス(;_;)。ということで、以前はあんまし聴いてなかったのですが、細野晴臣とnav katzeの影響で聴くようになってきました(^^;。

 細野さんは昔から聴いていたのですが、最近特にアンビエント色を強めていますね。彼のプロデュースした「Love, Peace & Trance」という企画ものには、遊佐未森も参加しています。ちょっと話が逸れますが、最近「YMO以前の細野さん」を追いかけて(^^;いて、やっぱし「蝶々San」「北京ダック」「Chow-Chow Dog」なんかの時代が一番ノッていたかな、とかも思うのですが。

 でも最近急にアンビエントに引かれるようになったのは、nav katzeがアンビエント色を強めてきたことにあると言えるでしょう。特にnavのリミックスを担当したAphex TwinとGlobal Communicationなどの「インテリ系」と呼ばれるものがCoolだと思います(やはり(^^;)。


back to さわらび研究室 TOP PAGE